いろいろ
Seize the day.
2005-12-18 [長年日記]
■ [science] a^b = b^a の有理数解
先月,「a^b = b^a を満たす有理数解の条件は?」という問題を紹介した [2005-11-9].問題提起だけして (元々はある高名な先生から出された問題) ほったらかしてたのだが(ぉ,数日後,KND さんという方から丁寧な解答を頂いた.何回かメールのやりとりの後に,その解答をここに転載してよいかお聞きしたところ,快諾して下さったので,ここに載せる次第.…って,あれからもう 1 ヵ月近く経ってしまいました(激ぉ.遅くなって申し訳ないです.
厳密な証明は意外と厄介だったり.ちなみに,N が 1 の時が 2^4=4^2 に相当しますね.
有理数解は
(a, b) = ( ((N+1)/N)^N, ((N+1)/N)^{N+1} ) (N: 整数、N≠0,-1)
に限る.
(証明)
a = 0 または b = 0 の場合は明らかに a^b≠b^a であることから
a, b≠0 である。
b/a =: R と置くと、a と b が有理数であることから R も有理数
であり、R≠0,1。また、「a^b = b^a」より「b = a^R」であること
が、R の定義より「b = Ra」であることがそれぞれわかり、
a(a^{R-1}-R) = 0
が導かれる。a≠0 より、a と b は以下のように定まる。
a = R^{1/(R-1)}, b = Ra = R^{1+1/(R-1)} = R^{R/(R-1)}
N := 1/(R-1)(≠0,-1)が整数であれば a = R^N と b = R^{N+1}
は有理数。このときは R = (N+1)/N であり、R が有理数だという
条件にも反していない。したがって
(a, b) = ( ((N+1)/N)^N, ((N+1)/N)^{N+1} )
は a^b = b^a の有理数解を与えている。
次に、1/(R-1) が整数でなく、a = R^{1/(R-1)} が有理数になるよ
うな有理数 R が存在すると仮定する。以下、この仮定から矛盾を
導き出す。
1/(R-1) は有理数なので、1/(R-1) が 1/m の整数倍となるように
2 以上の整数 m をとることができる。そのような m のうちで最小
のものを M とする。
1/(R-1) =: n/M とすると、M の最小性より gcd(n, M) = 1 であり、
R = (M+n)/n。このとき、a = R^{n/M} が有理数になるのは R^{1/M}
が有理数のときに限る。実際、n>0 のときは a = ((M+n)/n)^{n/M}
を既約な整数比表現 S/U と表記すると、(M+n)^n/n^n = S^M/U^M で、
両辺の分母も分子も整数の nM 乗である。(M+n)^n/n^n =: s^{nM}/u^{nM}、
つまり (M+n)/n =: s^M/u^M と置くと
R^{1/M} = ((M+n)/n)^{1/M} = (s^M/u^M)^{1/M} = s/u
であり、R^{1/M} が有理数であることが導かれる。n<0 のときは
a = (|n|/(|n|-M))^{|n|/M} を既約な整数比表現 S/U と表記する
ことで同様に R^{1/M} が有理数であることが導かれる。したがっ
て、
R := s^M/u^M (s と u は整数、u>1、gcd(s, u) = 1)
と置くことができる。このとき、1/(R-1) = u^M/(s^M-u^M) である。
gcd(u^M, s^M-u^M) = 1 であることから、u^M/(s^M-u^M) は既約な
整数比表現になっている。一方、1/(R-1) = n/M の右辺も既約な整
数比表現で M>0 であることから、|s^M-u^M| = M であることが導
かれる。
しかし、以下のように |s^M-u^M|>M であることが示せる。つまり、
1/(R-1) が整数でなく、a = R^{1/(R-1)} が有理数になるような有
理数 R は存在しない。
(1) |R|>1 のとき: |s|>u であることから
|s^M - u^M| ≧ |s|^M - u^M
= (|s|-u)(|s|^{M-1} + |s|^{M-2}u + |s|^{M-3}u^2 + ...
+ |s|^2u^{M-3} + |s|u^{M-2} + u^{M-1})
> 1×(u^{M-1}×M) ≧ M
が成立する。
(2) 0<|R|<1 のとき: 0<|s|<u であることから
|s^M - u^M| = |u^M - s^M|
≧ u^M - |s|^M
= (u-|s|)(u^{M-1} + u^{M-2}|s| + u^{M-3}|s|^2 + ...
+ u^2|s|^{M-3} + u|s|^{M-2} + |s|^{M-1})
> 1×(|s|^{M-1}×M) ≧ M
が成立する。
Q.E.D.
(補足) 有理数 r に対して r = x/y = X/Y という 2 つの既約な整数比
表現がある(つまり gcd(x, y) = gcd(X, Y) = 1)なら、|x| = |X|
かつ |y| = |Y|.
そうだ,せっかくはてなにミラーがあるんだから,TeX 記法でも書いておこう.以下の記述は,tDiary だとわけわかめなことになってるはず.mime TeX で整形された文書はここらへんの下の方参照.有理数解は [tex:(a, b) = \left( \left(\frac{N+1}{N}\right)^N, \left(\frac{N+1}{N}\right)^{N+1} \right)] ([tex:N]: 整数、[tex:N \neq 0,-1]) に限る. (証明) a = 0 または b = 0 の場合は明らかに [tex:a^b \neq b^a] であることから [tex:a, b \neq 0] である。 [tex:b/a = R] と置くと、a と b が有理数であることから R も有理数であり、[tex:R \neq 0,1]。また、「[tex:a^b = b^a]」より「[tex:b = a^R]」であることが、R の定義より「b = Ra」であることがそれぞれわかり、 [tex:a\left(a^{R-1}-R\right) = 0] が導かれる。[tex:a \neq 0] より、a と b は以下のように定まる。 [tex:a = R^{\frac{1}{R-1}}, b = Ra = R^{1+\frac{1}{R-1}} = R^{\frac{R}{R-1}}] [tex:N =frac{1}{R-1} ( \neq 0,-1)] が整数であれば [tex:a = R^N] と [tex:b = R^{N+1}] は有理数。このときは [tex:R = \frac{N+1}{N}] であり、R が有理数だという条件にも反していない。したがって [tex:(a, b) = \left( \left(\frac{N+1}{N}\right)^N, \left(\frac{N+1}{N}\right)^{N+1} \right)] は [tex:a^b = b^a] の有理数解を与えている。 次に、[tex:\frac{1}{R-1}] が整数でなく、[tex:a = R^{\frac{1}{R-1}}] が有理数になるような有理数 R が存在すると仮定する。以下、この仮定から矛盾を導き出す。 [tex:\frac{1}{R-1}] は有理数なので、[tex:\frac{1}{R-1}] が [tex:\frac{1}{m}] の整数倍となるように2 以上の整数 m をとることができる。そのような m のうちで最小のものを M とする。 [tex:\frac{1}{R-1} = \frac{n}{M}] とすると、M の最小性より gcd(n, M) = 1 であり、[tex:R = \frac{M+n}{n}]。このとき、[tex:a = R^{\frac{n}{M}}] が有理数になるのは [tex:R^{\frac{1}{M}}] が有理数のときに限る。実際、[tex:n \gt 0] のときは [tex:a = \left(\frac{M+n}{n}\right)^{\frac{n}{M}}] を既約な整数比表現 [tex:\frac{S}{U}] と表記すると、[tex:\frac{(M+n)^n}{n^n} = \frac{S^M}{U^M}] で、両辺の分母も分子も整数の nM 乗である。[tex:\frac{(M+n)^n}{n^n} = \frac{s^{nM}}{u^{nM}}]、つまり [tex:\frac{(M+n}{n} = \frac{s^M}{u^M}] と置くと [tex:R^{\frac{1}{M}} = \left(\frac{M+n}{n}\right)^{\frac{1}{M}} = \left(\frac{s^M}{u^M}\right)^{\frac{1}{M}} = \frac{s}{u}] であり、[tex:R^{\frac{1}{M}}] が有理数であることが導かれる。[tex:n \lt 0] のときは [tex:a = \left(\frac{|n|}{|n|-M\right)^{\frac{|n|}{M}}] を既約な整数比表現 \frac{S}{U}] と表記することで同様に [tex:R^{\frac{1}{M}}] が有理数であることが導かれる。したがって、 [tex:R = \frac{s^M}{u^M}] (s と u は整数、[tex:u \gt 1]、gcd(s, u) = 1) と置くことができる。このとき、[tex:\frac{1}{R-1} = \frac{u^M}{s^M-u^M}] である。gcd([tex:u^M], [tex:s^M-u^M]) = 1 であることから、[tex:\frac{u^M}{s^M-u^M}] は既約な整数比表現になっている。一方、[tex:\frac{1}{R-1} = \frac{n}{M}] の右辺も既約な整数比表現で [tex:M \lt 0] であることから、[tex:|s^M-u^M| = M] であることが導かれる。 しかし、以下のように [tex:|s^M-u^M| \gt M] であることが示せる。つまり、[tex:\frac{1}{R-1}] が整数でなく、[tex:a = R^{\frac{1}{R-1}}] が有理数になるような有理数 R は存在しない。 (1) [tex:|R| \gt 1] のとき: [tex:|s| \gt u] であることから [tex:|s^M - u^M| \geq |s|^M - u^M] [tex:= (|s|-u)\left(|s|^{M-1} + |s|^{M-2}u + |s|^{M-3}u^2 + \dots] [tex:+ |s|^2u^{M-3} + |s|u^{M-2} + u^{M-1}\right) ] [tex:\lt 1 \times (u^{M-1} \times M) \geq M] が成立する。 (2) [tex:0 \lt |R| \lt 1] のとき: [tex:0 \lt |s| \lt u] であることから [tex:|s^M - u^M| = |u^M - s^M|] [tex:\geq u^M - |s|^M] [tex:= (u-|s|)\left(u^{M-1} + u^{M-2}|s| + u^{M-3}|s|^2 + \dots [tex:+ u^2|s|^{M-3} + u|s|^{M-2} + |s|^{M-1}\right)] [tex:\gt 1 \times (|s|^{M-1} \times M) \geq M] が成立する。 Q.E.D. (補足) 有理数 r に対して r = x/y = X/Y という 2 つの既約な整数比 表現がある(つまり gcd(x, y) = gcd(X, Y) = 1)なら、|x| = |X| かつ |y| = |Y|.
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「自明でない(a≠b のときの)」有理数解、ですね。証明が必要なのは a≠b のときだというのは当たり前ですけど、これを言っておかないと証明中の R≠1 は言えなくなりますから。
あ,そういうことになります.a=b は自明なので抜きですね.明記するのを忘れておりました・・・.スミマセン.